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アメリカではMLM(ネットワークビジネス)はどのように見られているのか?

これまで3回に渡って英語版Wikipediaの“Multi-level marketing”の翻訳について紹介してきました。
マルチレベルマーケティング(MLM)とは何か①(英語版Wikipedia翻訳)
マルチレベルマーケティング(MLM)とは何か②(英語版Wikipedia翻訳)
マルチレベルマーケティング(MLM)とは何か③(英語版Wikipedia翻訳)

この記事ではその内容について見ていきたいと思いますが、その前に米国におけるMLMの現状を理解するにあたって欠かせない二つの重要なプレーヤーについて説明しておきます。

一つは米連邦取引委員会で通称FTC(Federal Trade Commission)と呼ばれる組織です。
米国における独占禁止法と消費者保護法を管轄する行政機関で、市場が競争原理に基づき運用されることを確保することを目的としています。日本の行政機関で言うところの、公正取引委員会と消費者庁を足したような組織だと考えられます。
もう一つが全米直販協会で通称DSA(Direct Selling Association)と呼ばれる団体です。
米国におけるMLMを中心とした業界団体で、アムウェイやニュースキン等、176の企業が会員として名を連ねています。会員企業および個人ディストリビューターの利益を守り、発展させることを目的とし、会員企業に対する倫理規定の策定や政府・行政機関に対するロビー活動を行っています。
この「消費者の安全を守る立場」と「業界の利益を守る立場」という二つの組織の間で鍔迫り合いが続けられてきたのが、アメリカにおけるMLM規制の歴史だと言えます。

さて、英語版Wikipediaにおける“Multi-level_marketing”の項目で目立って印象的な点は、55件もの注釈、つまり文献やニュース記事による根拠資料が提示されているという事です。このことから米国においてはMLMに関する議論がかなり蓄積されており、また記載内容の客観性を担保しようという意志が伺えます。ちなみに日本版Wikipediaの“連鎖販売取引”の項目では、記載内容に特に誤りや問題点は見受けられないものの、行政機関を中心とした12件のリンクが紹介されているのみで具体的な引用はほとんどされておらず、英語版に比べて内容の薄さは否めません。

具体的な議論の内容について見ていくと、
・問題の起きやすいビジネスとして常に批判の対象となっている。
・ネズミ講と類似している。
・買い込みが発生する。
・オーバートークが発生する。
・マインドコントロールのテクニックが使用される。
・人間関係が損なわれる。
・リーダー達がセミナーや教材販売で不当な利益を得ている。
・十分な収入を得られる確率が極めて低い
等、日本で問題となっている論点はほとんど取り上げられています。

一方で日本の状況とは異なる点もいくつかあります。
一つは価格操作(Price Fixing)の問題が取り上げられているという点です。小売業者が仕入れた商品を自由に価格設定できる、あるいは複数の業者が結託して価格を固定化しないというのは自由競争が成立する条件の一つでもあります。米国では価格操作という違法行為についてかなり厳しく取り締まっており、摘発されるMLM業者が後を絶たないようです。

二つ目が米国ではMLM方式を採用する企業が増えているという点です。1990年にはDSAの会員企業のうち25%がMLMを採用していましたが、1999年には77.3%、2009年には94.2%と増えています。
※この件については単純に米国でのMLM市場が拡大しているとは言い切れない節があり、別記事で取り上げることとします。

三つ目が業界団体であるDSAの影響力が強いという点です。2006年にFTCが「Business Opportunity Rule(※日本で言うところの特定商取引法のようなものだと考えられます)」を提示していますが、2008年に改定するに当たって、その適用範囲からMLM企業が除外されています。ディストリビューターの負担が重くなるという理由によるDSAのロビー活動が功を奏した為だと言われています。

また、四つ目として興味深い論点が取り上げられています。
それは市場社会におけるMLMの存在意義です。MLMはかつては経営資源の少ない中小企業が市場にアクセスする手法として有効性があったかもしれない。ところが顧客に直接情報提供ができ、販売できるインターネット取引の登場によって、その役割を失っているとするものです。これはかなり本質的な指摘であり、今後のMLM業界が避けて通れない課題と言えるでしょう。

いずれにしても、現在日本で行われているMLMをめぐる議論は米国ではほぼ経験済であり、MLMの仕組みが生み出す問題が国によって大きく変わるものではないことを示していると言っていいでしょう。
これらの議論の内容を踏まえておくことは、日本のMLM産業の将来を占う上でも極めて重要だと考えられます。


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マルチレベルマーケティング(MLM)とは何か③(英語版Wikipedia翻訳)

※以下は管理人の責任により、英語版Wikipediaの“Multi-level marketing”の項目を翻訳した記事です。
一部読みやすさを重視して意訳している箇所があります。意味を変えているところは無いつもりですが、もし誤訳等にお気づきになられた方がいらっしゃいましたら、ご一報頂ければと思います。

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【批判】
1979年の“アムウェイ審決”において連邦取引委員会は、アメリカにおけるマルチレベルマーケティングそれ自体は違法ではないという結論を出した。しかしアムウェイは価格の固定化(“独立”であるべきディストリビューターに対して、実際には固定価格で販売するように要求した)および所得請求を過剰に行った事によって有罪になった。

連邦取引委員会は製品の販売よりも新メンバーを加入させる事に対して大きなインセンティブを与えるマルチレベルマーケティング組織に対して懐疑的になるようにと忠告している。また連邦取引委員会は新規メンバーを加入させることにより報酬を得る活動は、ほとんどの州でネズミ講として法律で禁止されていると警告している。

2006年4月には、(MLMを含む)ビジネス提案を行おうとする全ての販売員が、見込み客が収入を得られる可能性について適切な選択ができるように十分な情報を与えることを要求した「Business Opportunity Rule」を示した。(しかし)連邦取引委員会は2008年3月に提案した改定版の対象からネットワークビジネス社を除外した。
「今回の改訂版はMLM企業または2006年4月版にうっかり対象範囲に入れてしまったいくつかの企業は対象としていない。」
(訳者注:除外の背景にはMLM業界団体のロビー活動があったようです。)

Walter J. Carl はWestern Journal of Communicationの記事で、
「MLM組織は、カルト(Butterfield, 1985)、ネズミ講(Fitzpatrick & Reynolds, 1997)、あるいは嘘や欺瞞にまみれた組織(Carter, 1999)であり、事業を拡大させるために問題の多い方法をとっている(Hopfl & Maddrell, 1996)。さらに経済的利益と引き換えに人間関係を搾取してしまう(Fitzpatrick & Reynolds, 1997)。」と述べている。
中国ではこの仕組みから人々を救済しようと働いているボランティアが実際に襲撃されてきた。

MLM企業は西洋文化の基準との基本的な部分での摩擦のために、大多数の参加者との約束を果たすことができていないとして批判されてきた。MLMビジネスは“とんとん”あるいは少しでも収益を得ることが出来る確率が他のタイプのビジネスよりも遥かに悪いと一様に主張されている。
「大多数のMLMでは参加者は利益を得るために積極的に勧誘をし続けなければならない。入手可能な範囲でのMLM主宰会社のデータによれば、MLMで損失を被る確率は99.9%である。すなわち参加者の99.9%が自己消費を含む全ての支出を差し引いた後ではお金を失うことになる。」
理由の一部はより多くの新規加入を促す行為によって“市場の飽和”に達するからである。「本来的にMLMは科学的な基盤を完全に欠いている」とも主張されている。

別の批判によれば、MLMは合理的な事業活動としてうまく生き伸びてきただけだと言う。つまりこういう事だ。アメリカ合衆国が比較的小さな、閉鎖された町や郊外のつながりで出来ていて、中小企業が容易に近づけないような時代には、MLMは製品やサービスを伝え、購入する効果的な手段だった。
ところが消費者に直接、宣伝・販売することのできるインターネット取引の進歩は、このモデルを時代遅れのものにしてしまった。こうして今日では、ほとんど全ての新興MLM企業では、表向きは高すぎる製品やサービス(たとえそれが本物の製品やサービスだったとしても)を合法という薄いローブをまとって販売する一方で、会員達はより多くの人々をMLMに加入させるように掻き立てられ、この仕組みを実質的にネズミ講へと変えていく。

新規会員にさらなる会員を加入させることを奨励しているため、現代のMLMはどうみても合法的なネズミ講に過ぎないとまで言う人もいる。ある者は「アメリカではマルチレベルマーケティング社等は法律で規制されているネズミ講の一種だ」と言い、また別の者は「マルチレベルマーケティングは必ずしも詐欺ではないネズミ講の一種である」と言う。

2010年10月には、いくつかのマルチレベルマーケティング社が、新規会員の加入によって会員への報酬が支払われており、しかも後の会員は初期参加者ほど稼げていないのではないかという疑惑の下、かなりの数の州司法によって調査されていると報じられた。

業界の評論家であるRobert L. FitzPatrickはマルチレベルマーケティングを最後には破裂してしまう“メインストリート・バブル”だと呼んでいる。

以上
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マルチレベルマーケティング(MLM)とは何か①(英語版Wikipedia翻訳)
マルチレベルマーケティング(MLM)とは何か②(英語版Wikipedia翻訳)
アメリカではMLM(ネットワークビジネス)はどのように見られているのか?


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マルチレベルマーケティング(MLM)とは何か②(英語版Wikipedia翻訳)

※以下は管理人の責任により、英語版Wikipediaの“Multi-level marketing”の項目を翻訳した記事です。
一部読みやすさを重視して意訳している箇所があります。意味を変えているところは無いつもりですが、もし誤訳等にお気づきになられた方がいらっしゃいましたら、ご一報頂ければと思います。

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<所得水準>
いくつかのニュースソースでは特定のMLM企業やMLM全体の所得水準について論評している。

【The Times(タイム)】
「政府の調査によるとイギリスいるアムウェイの代理店のうち、僅かでも報酬を得ている者はほんの10%に過ぎず、グループの製品を1アイテムでも売ることができている者は10分の1以下しかいない事が分かった。」

【Eric Scheibeler(アムウェイの高タイトル“エメラルド”会員)】
「イギリスのノリス判事(UK Justice Norris)は2008年に33,000人のIBO(独立事業主)の内、たった90人しか事業を積極的に展開するのに必要な費用を十分に賄えるだけの収入を得られていないことを発見している。これは投資家にとっては99.7%の損失率である。」

【Newsweek(ニューズウィーク)】
「モナヴィー(Mona Vie)自身が2007年に情報公開したところによれば、1%以下の者が報酬を受ける資格があり、さらにその中の10%だけが週に100ドル以上の報酬を受けている。」

【Business Students Focus on Ethics】
「米国では90%のMLM会員のMLMから受けている年間収入の平均額は僅か5,000ドルであり、生計を立てるための十分な手段とはとても言えないものである。」

【USA Today(USAトゥデイ)】
●「主宰会社や販売能力によって稼げる可能性は変わってくるものの、全米ダイレクトセリング協会によればダイレクトセールスにおける年収の中央値は2,400ドルである。」
●2010年10月15日の記事では、Fortuneと呼ばれるMLM企業の記録によれば、代理店の30%が無収入であり、残りの70%のうちの54%が月に93ドルしか稼いでいないとしている。この記事ではまた、Fortune社がテキサス、ケンタッキー、ノースダコタ、ノースカロライナ、ミズーリ、サウスカロライナ、イリノイ、フロリダの司法長官によって、同社に対する苦情を調査するため、取り調べを受けている最中であると述べている。
●2011年2月10日の記事では「ほとんどの人にとって消費者へのダイレクトセールスで大金を稼ぐのは、不可能とは言わないが極めて困難かもしれない。それでいながら勧誘者は売り込みの際に、しばしば大金をほのめかすものだ。」と述べている。
●Roland Whitsell(経営学の元教授であり、40年間をマルチレベルマーケティングの危険性についての研究と教育に費やしている):
「時給1.5ドル以上を稼いでいる人を一人でも見つけるのにひどく苦労するだろう。(MLMが扱っている)主な製品はビジネスチャンスなのだ。今日において最も強力で、もっともパワフルな動機づけの力は偽りの希望なのだ。」

<合法性と適法性>
MLMビジネスはアメリカ合衆国の50州全てで運用されている。新興企業達は“アフィリエイトマーケティング”や“ホームベースビジネスフランチャイズ”といった用語を使ってくるかもしれない。多くのネズミ講組織が自分自身を合法的なMLMであると主張しようとする。多くの裁判所や公的機関が、全てのMLMはたとえ合法であったとしても本質的にはネズミ講なのだと断言している。

連邦取引委員会は、「新しくディストリビューターを加入させることと引き換えに報酬を支払うMLMのマーケティングプランは避けるべきである。これらは実質的に違法であるネズミ講である。なぜネズミ講が危険なのか?その理由は新しいディストリビューターを加入させることに対して報酬を支払うというプランは新規加入者がいなくなったときに必然的に破綻するからだ。そしてプランが破綻した際には、ピラミッドの頂点の一部の者を除いたほとんどのディストリビューターは何の収入も得ることが出来ない。」と述べている。

2004年に全米ダイレクトセリング協会に宛てた助言書において、連邦取引委員会はこう述べている。
「ここ数年、個人消費や内部消費(いわゆる買い込み)に関わる論点があれこれ言われている。実際のところ、連邦取引委員会が特定のMLMプランをネズミ講であると見做す上で、買い込み額の多寡で判断している訳では無い。連邦取引委員会にとって決定的に重要な問いは、全ての参加者に支払われるコミッションが、単なる金儲けに参加できる権利を買うことに付いてくるものではなく、製品やサービスの購入から生み出されているかどうかである。」

連邦取引委員会は「全てのマルチレベルマーケティングのプランが合法という訳では無い。なかにはネズミ講もある。稼ぎ出すお金が主として加入させたディストリビューターの数を基にしているのであれば、そのプランには巻き込まれないようにするのが最善である。」と警告している。
そして次の8つのステップに従って調査するのが最も良い手段だと述べている。

1.会社の過去の業績を探し、調査する
2.製品について学ぶ
3.質問をする
4.全ての規制内容を理解する
5.他のディストリビューター達と話をする(サクラを避けるように)
6.中立意見を聞いたり、内部調査をするために友達や助言者を利用してみる
7.ゆっくり時間を取る
8.このプランがあなたの能力や目的と合っているかを考える
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マルチレベルマーケティング(MLM)とは何か①(英語版Wikipedia翻訳)
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マルチレベルマーケティング(MLM)とは何か①(英語版Wikipedia翻訳)

※以下は管理人の責任により、英語版Wikipediaの“Multi-level marketing”の項目を翻訳した記事です。
一部読みやすさを重視して意訳している箇所があります。意味を変えているところは無いつもりですが、もし誤訳等にお気づきになられた方がいらっしゃいましたら、ご一報頂ければと思います。

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<概論>
マルチレベルマーケティング(MLM)とは、販売員自身で作りだした売上だけでなく、販売員が新たに加入させた販売員の売上に対しても報酬を得ることができるマーケティング手法のことである。この新たに加入させられた販売員は加入させた当人の“ダウンライン”と見做され、多段階の報酬を提供できる。MLMを表わすのに使われるその他の用語としては、ピラミッドセリング、ネットワークマーケティング、そして紹介マーケティングなどがある。
米連邦取引委員会(FTC)によれば、MLMの販売方式を採用している会社の中には、会員を搾取し、違法であるネズミ講を設立している会社もあるという。

ほとんどの場合、販売員は紹介や口コミによって消費者に対して直接的に製品を販売することが期待される。MLMはダイレクトセリングの一形態に過ぎないが、ダイレクトセリングとMLMを同じ意味に捉える者もいる。

MLMの報酬モデルを採用する企業はしばしば批判や訴訟の対象となっている。
違法であるネズミ講との類似性、製品価格の固定化、高額な参入コスト(販売キットや初期購入製品)、実販売を超える新規会員勧誘の重視、ビジネスメンバーを勧誘しない場合でも自社製品を購入・使用するように奨励すること、製品販売および勧誘対象者の両方から個人の人間関係を搾取すること、複雑で誇張された報酬プラン、主宰会社やリーダーたちによるトレーニングイベントや教材を通じた多額の金儲け、一部のグループが用いる会員メンバーを狂信的に奉仕させるためのカルト宗教じみたテクニックなどに批判は集中している。

<ダイレクトセリング/ネットワークマーケティング/マルチレベルマーケティング>
著述家のDominique Xardelによれば、ネットワークマーケティングとマルチレベルマーケティングは同じ意味であり、ダイレクトセリングの手法の一つであると説明されている。Xardelによればダイレクトセリングとネットワークマーケティングは流通の仕組みについて言及しているものであり、マルチレベルマーケティングという用語は報酬プランについて説明しているものである。その他にも“口コミマーケティング”、“インタラクティブ流通”、そして“関係性マーケティング”といった用語が使われることもある。
論者達によれば、種々ばらばらな用語や流行語の使用は、マルチレベルマーケティングを違法のポンジ・スキームやチェーンメール、消費者詐欺との区別を困難にすると言う。マルチレベルマーケティングをダイレクトセリングそのものであると言うよりも、ダイレクトセリングの一形態だとして分類する意見もある。
マルチレベルマーケティング業界の圧力団体である全米ダイレクトセリング協会(DSA)は1990年には会員の25%がMLMを採用していたが、1999年には77.3%にまで成長したと報告している。Avon、Electrolux、TupperwareそしてKirbyなどの会社は、全てもともとは(小売利益を報酬ベースとする)シングルレベルのマーケティングプランを採用していたが、後にマルチレベルマーケティングのプランを導入している。2009年までには会員企業の94.2%がMLMを採用しており、販売員の99.6%、売上の97.1%を占める。全米ダイレクトセリング協会の会員企業はおおよそ200を数えるものの、アメリカ国内だけでも1,000社を超える会社がマルチレベルマーケティングプランを採用していると推定される。

<歴史>
マルチレベルマーケティングの起源についてはしばしば論争になる。マルチレベルマーケティング形式のビジネスは1920年代には存在していたとするもの、1930年代のNutriliteや後にAvon ProductsになるCalifornia Perfume Companyにあるとするもの、1940年代のCalifornia Vitamin Companyだとするもの、1960年代あるいは1970年代になってようやく(誕生した)という意見すらある。

<仕組み>
Multi-level_marketing_tree_diagram.png
※バイナリ―方式のツリー構造組織。
青の者が赤のダウンライン会員の売上から報酬を得ることができる。

給与報酬を受けない独立したビジネス参加者のことをディストリビューター(あるいはアソシエイツ、独立ビジネスオーナー、ディーラー、フランチャイズオーナー、個人代理店、等々)と呼び、主宰会社の製品やサービスを流通させることを許可されている。彼らは消費者から小売利益を直接受けることができるのに加え、自分自身の販売努力によって売った分とダウンライン組織の分も含めた販売額を基にして、マルチレベルマーケティングの報酬プランに応じた手数料を得ることができる。

個々のディストリビューターは製品を直接購入する消費者ネットワークを構築するか、同じように消費者ネットワークを構築しようとするディストリビューターであるダウンラインを加入させるか、いずれかの方法で自身の組織を構築し、それによって組織全体を拡大させる。それに加えて、ディストリビューターは主宰会社から卸売価格で購入した製品を小売することによって利益を得ることもできる。
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マルチレベルマーケティング(MLM)とは何か②(英語版Wikipedia翻訳)
マルチレベルマーケティング(MLM)とは何か③(英語版Wikipedia翻訳)
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『ニュースキン社、集団訴訟を受ける』

中国でのマルチ商法疑惑(参考記事①参考記事②)に関連して、ニュースキンエンタープライズ社が株主から集団訴訟を受けることになったと同社が本拠地としているユタ州の有力紙『Deseret News』が報じました。

以下、記事のポイントを解説していきます。
(一部読みやすさを重視して管理人の判断で意訳している箇所もありますが、意味を変えているところはありません。)
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The company failed to disclose “its fraudulent sales practices and non-compliance with Chinese laws and regulations,” the lawsuit alleges. The suit claims investors who purchased stock between July 10 and Jan. 16 were subject to losses of up to approximately half of their financial investment due to misinformation disseminated purposely by the company.
訴訟では同社が“詐欺的な販売行為と中国の法規制を守っていなかった事”を明らかにしていなかったとの申し立てがされた。また、同社が意図的に流布した誤報により、2013年7月10日から2014年1月16日にかけて株式を購入した投資家は投資額の半分近くの損害を被ったと主張した。


Throughout that period, Nu Skin repeatedly stressed that China was a "growing market for the direct selling industry, hold(ing) great promise and represent(ing) a significant opportunity to expand (Nu Skin's) business," the suit states..”
この期間中ニュースキンエンタープライズ社は、中国はダイレクトセリング業界における成長市場であり、有望かつニュースキンビジネスの拡大を象徴している、と繰り返し強調していたと訴えた。


In response to the suit, Nu Skin released the following statement: "We believe the allegations are without merit and intend to defend ourselves vigorously."
この訴訟に関してニュースキンエンタープライズ社は「申し立てには法的根拠がなく、我々は自信を持って弁明するつもりである。」と発表した。

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基本的にアメリカの大企業は頻繁に訴訟を受ける立場にあり、この事案も過度に捉えるようなことではないのかもしれません。しかしニュースキン社は株主重視の経営をしてきた会社であり、このような株主側からの訴えに敏感に反応する可能性は高いと思われます。中国市場の重みも併せて考えると、今後問題を起こしたリーダー達の処分やコンプライアンスのさらなる強化等の策をとってくるのではないかと思われます。
いずれにしても中国大陸での一連の騒動についてはしばらく余波が続きそうです。


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『ニュースキンのせいでアムウェイやハーバライフが迷惑を受ける理由』

ニュースキン社に対する中国政府の調査については、すでに様々な機関が報じています。その中でも比較的突っ込んだ情報を提供しているQUARTZの報道を紹介します。
※Quartsはアメリカで躍進中のビジネスニュースサイトです(参考URL)。

記事の原題は
“Why China’s Nu Skin “pyramid scheme” probe could mean trouble for Amway and Herbalife(なぜ中国におけるニュースキンのマルチ商法疑惑調査がアムウェイとハーバライフにとって迷惑になるのか?)”というきつくストレートなものとなっています。

以下、記事のポイントを解説していきます。
(一部読みやすさを重視して管理人の判断で意訳している箇所もありますが、意味を変えているところはありません。)
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The probe was prompted by a report in the Communist Party-owned People’s Daily (link in Chinese), which accused the skin cream, vitamins and anti-aging retailer of fraudulently exaggerating the youth-regeneration benefits of its products. More importantly, it painted a picture of a cult-like enterprise controlling middle-class Chinese consumers—perhaps in a way that the Communist Party feels might encroach on its own turf:
(この調査は共産党の機関紙である人民日報が、ニュースキンの販売員がその若返り効能を誇大広告したとする報道を受けたものだった。しかしそれよりも重要なのは中間層を操るカルト宗教のような企業であると描写されてしまったことだ。ひょっとしたら中国共産党は縄張りを荒らされたように感じたのかもしれない。)

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まさにネットワークビジネスの二大問題であるオーバートークとマインドコントロールについて人民日報から指摘されてしまったわけです。特に後者については、もともと社会主義国は宗教を否定する傾向がありますので、ニュースキンの宗教っぽさは中国共産党にとっては脅威と映ったのでしょう。

そしてその“Fanatic(狂信的)”な具体例として、
・「ニュースキンビジネスを生涯の仕事として取り組んで、大金を稼いで、運命を変える」と言い、ニュースキン商品に投資するために家を売ろうとした50代女性。
・1月11日の北京でのミーティングに2万人が参加し、蛍光ライトを振り回しながら、大声で掛け声をあげる様子。
・ビジネス哲学を学んでもらうために販売員にセミナーに参加し、本を読み、CDを聴くように強要している。
などを挙げています。
ニュースキン社はこれに対して “contained inaccuracies and exaggerations(誤りや誇張が含まれている)”と反論しています。

いずれにしてもニュースキンに限らず、アムウェイやハーバライフ、メアリーケイ等のダイレクトセリング業界にとって、いまや中国市場は極めて大きな位置を占めています。
例えばアムウェイの113億ドルの売上のうち三分の一は中国市場から来ており、メアリーケイは85万人の販売者を通じて10億ドルの売上を挙げています。

しかしここまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。
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And despite their recent success, China has long been suspicious of direct sales companies. In 1998, Communist Party banned direct selling outright, “because they feared the gatherings might be a cover for religious or other rallies,” as one Amway executive explained to Bloomberg. In fact it was even worse than that: Beijing said direct sales companies were the source of ”evil cults, secret societies and superstitious and lawless activities.”
(最近になって成功を収めつつあるものの、中国はダイレクトセリング企業に対してずっと懐疑的だった。1998年に一度共産党はダイレクトセリングを完全に禁止している。「彼らはセミナーが宗教や暴動の隠れ蓑になることを恐れたんだ」とはアムウェイ幹部の弁だが、実際はそれより深刻だった。中国政府はダイレクトセリング企業を“邪悪なカルト、秘密結社、迷信や不法行為”の源だと見なしていたのだ。)


Direct sales companies lobbied government hard to allay their fears, sometimes setting up storefronts and, in Amway’s case, starting an alliance with Harvard University to train Chinese officials. In 2005, the ban was lifted—but now it’s looking like the door could be closing once again.
(中国政府のこのような懸念を和らげるためにダイレクトセリング企業はロビー活動を行ってきた。アムウェイの場合で言えば路面店を出店したり、官僚を教育するためにハーバード大学との提携を行った。その甲斐あって2005年に禁止令は解除された。しかし今また門戸は閉じられようとしているように見える。)

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アムウェイやハーバライフにしてみれば、せっかく長い期間をかけて中国市場で信用を勝ち取ってきたのに、「ニュースキンやってくれたな」といったところでしょうか。
個人事業主が連鎖的に連なっているネットワークビジネスでは常に一部の系列が暴走する危険性があります。ネットワークビジネス独自のこの特性が業界全体にまで悪影響を及ぼそうとしているのかもしれません。


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『中国当局、マルチ商法の疑いで米ニュースキンを調査へ』

ニュースキンエンタープライズ社の最大の市場である中華圏において当局の調査が入ることになりました。

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中国当局、マルチ商法の疑いで米ニュースキンを調査へ(ロイター)
新華社の報道によると、ニュースキンはパンフレットで製品の効用と信頼性を誇張しており販売員を洗脳しているマルチ商法であると、中国共産党機関紙の人民日報が報じたという。これを受けて、国家工商行政管理局(SAIC)が地方自治体に調査を指示したもようだ。SAICの広報担当者は、報道内容が事実だと判明した場合は法的措置を取ると述べたという。(一部抜粋)
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他にもブルームバーグやウォールストリートジャーナルもこの事について報じています。

この件がどのような顛末を迎えるかを予測するのは時期尚早ですが、実はこの種のリスクが起こり得ることはニュースキンエンタープライズ社自体がもともと懸念していた事でした。
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『中国における当社の営業は政府の厳しい監視を受けており、当社の販売員が適用ある法令に違反する活動を行った場合、当社は罰金その他の罰則を科される可能性がある。当社は、中国における当社のビジネスモデルが全世界における当社のビジネスモデルとどのように異なるかについて、中国の販売員に熱心に教育を施している。しかし、しばしば外国のセールス・リーダーが中国で教育に当たるため、また当社のグローバル・モデルが中国におけるビジネスモデルと大幅に異なるため、中国の販売員が中国において事業を推進する方法について混同が生じる可能性がある。この混同は、当社の中国での営業に対する政府の検査や調査につながる可能性がある。中国の法制度は政府機関に調査実施の広範な自由裁量を与えている。特に当社の事業が成長し、雇用販売員や契約販売促進員の数が増加し続けるにつれて、当社の事業が引き続き政府の厳しい監視を受けることにつながると予想される。当社は、将来の調査が罰金またはその他のより重大な制裁につながり得るというリスクに直面している。』
2012年度有価証券報告書54P

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中国と諸外国ではニュースキンビジネスの仕組みが異なります。別の機会に取り上げますが、連鎖販売方式、すなわちマルチ商法・ネットワークビジネスは中国では認められていません。ところが外国(日本も含む)のセールス・リーダーがその違いを踏まえず特定利益によるボーナス報酬をイメージさせる教育・勧誘活動を行ったため、この事態が起こってしまったのではないでしょうか。

いずれにしても中国内における有力紙である人民日報で“洗脳”という言葉とともに批判されたのはかなりの痛手であり、株価も急落しています。ニュースキン社の海外戦略は大きな進路変更を求められる事になるのかもしれません。

このテーマについては続報します。


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プロフィール

ゆんた

Author:ゆんた
経営コンサルタントの管理人がニュースキン(Nu skin)やアムウェイ(Amway)を始めとするネットワークビジネス、マルチ商法、マルチレベルマーケティング、MLMの仕組みを解き明かします。

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