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ネットワークビジネスが法律で規制される理由②

ネットワークビジネスが法律で規制される理由①」では、
ネットワークビジネス、すなわち連鎖販売取引が訪問販売と類似する特徴を持つために問題を引き起こしやすく、法律で規制されているということを見てきました。

しかし連鎖販売取引には訪問販売との類似性以上に独特の要素があり、それがさらなる問題を生み出す要因となっています。
それは“特定利益”という仕組みの存在です。

特定利益は連鎖販売取引の中核となる要素であり、ネットワークビジネスを理解する上で最も重要な仕組みと言っていいでしょう。
特定利益を伴う商取引は連鎖販売取引(=ネットワークビジネス=マルチ商法)であり、
連鎖販売取引(=ネットワークビジネス=マルチ商法)は特定利益を伴います。

特定利益の法律上の定義は以下のようになります。
――――――――――――――――――――――――――――――
その商品の販売などをする他の者 又は同種役務の提供などをする他の者が提供する取引料その他の経済産業省令で定める要件に該当する利益の全部又は一部をいう。
(特定商取引法 第33条第1項)

――――――――――――――――――――――――――――――

少々分かりづらいのですが、簡単に言ってしまうと、
特定利益とは、“ダウンライン(の活動や存在)によってもたらされる収入”のことです。「ダウンラインの販売額の○○%を得られる」や「フロントが○○人になったらボーナスが出る」といった形を取ります。
逆に特定利益に当てはまらない収入として代表的なものとして、小売利益が挙げられます。
小売利益とは、自らが消費者(=愛用者)に商品を販売することで得られる販売マージンのことです。ほとんどのネットワークビジネスは小売利益と特定利益の組み合わせによって、収入源が構成されています。

特定利益という仕組みは、ほとんどの人が心の内に秘めているある欲求を刺激します。それは、楽をしてお金を儲けたいという根源的な欲求です。
自分以外の誰かがお金を稼いでくれる状態というのは、ある意味では人としての理想状態と言えるでしょう。何の代償も払わなくても、苦労をしなくても、生活(場合によっては贅沢)できる訳であり、幼児が両親に守られながら欲しいものを得ている状態に近いのかもしれません。

この状態のことをネットワークビジネスの世界では“権利収入を取る”といった言葉で表現され、しばしば成功者の華やかなイメージを伴いながらその魅力が強調されます。それは例えば、タワーマンションで連日パーティをしていたり、豪華クルーズで世界一周をしているような姿であるわけです。

権利収入という名の特定利益を得るためにディストリビューター達は日々勧誘活動に励みます。そして、収入の多さはダウンラインの人数に相関しますから、その数は出来るだけ多い方がいいに決まっています。

そうするとネットワークビジネスは必然的に、
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それぞれの参加者が二人以上を勧誘し自分の下に付けることで、自分が投資した金品以上を取り変えそうとする仕組み
(無限連鎖講の防止に関する法律 第2条)

――――――――――――――――――――――――――――――
というネズミ講の要件を備えてしまうのです。

ネズミ講は法律によって禁止されていますが、それは指数計算的(参考記事)に参加者が増えて行くことによって破綻することが確実な仕組みであり、多数の被害者を生み出すからです。
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終局において破たんすべき性質のものであるのにかかわらずいたずらに関係者の射幸心をあおり、加入者の相当部分の者に経済的な損失を与える
(無限連鎖講の防止に関する法律 第1条)

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特定利益が強調される一方で小売利益が軽んじられると、ネットワークビジネスはどんどんネズミ講に似ていきます。ニュースキンの買い込み連鎖(参考記事)やニューウエイズに見られる愛用者をつくらないビジネス(参考記事)は、ほとんどネズミ講と同一のものと言っていいでしょう。実際に破綻している事例が少ないように見えるのは、破綻しているのが主宰会社ではなく個人のディストリビューターだからです(参考記事)。

特定利益という仕組みの存在が、実質的な禁止と呼ばれるほどネットワークビジネスが厳しく規制されている最大の原因なのです。


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ネットワークビジネスが法律で規制される理由①

ネットワークビジネスの法律的な位置付けは、特定商取引法で規定されている連鎖販売取引という商取引になります。
特定商取引法では連鎖販売取引に加えて、訪問販売、通信販売(ネット通販を含む)、電話勧誘販売、特定継続的役務提供(エステ、語学教室など)、業務提供誘因販売取引(内職商法、モニター商法など)を消費者トラブルを起こしやすい商取引として“特定”し、これを規制しています。

これらの商取引は、消費者すなわち個人を相手としており、また明確な価格設定や評価が難しい商品を取り扱っているという共通点を持っています。つまり事業者との情報力や交渉力の格差により、個人が不利な取引を結ばされるおそれのある商取引であるため、法律の強制力を利用してこれを規制することが必要とされてきたのです。

このような背景の下、特定商取引法では、これら6つの取引類型それぞれに具体的な規制項目を設けているわけですが、これらの6類型は排他的な関係にある訳ではありません。例えば電話勧誘による語学教室を営んでいる事業者がいれば、この事業者には電話勧誘販売と特定継続的役務提供の双方の規制が重複して適用されます。

特に連鎖販売取引に携わるディストリビューターにとって知っておくべきなのは訪問販売に関する規制です。
特定商取引法で規定している訪問販売は簡単に言ってしまうと“店舗(催事場や露店を含む)以外の場所で申込みや契約を行う商取引”です。ですから個人宅を訪れる訪問セールスだけでなく、顧客を外に呼び出して喫茶店などの場所で商談を進めるような商取引も含まれます。
もともと特定商取引法の前身となる法律は訪問販売法という名称であり、訪問販売は悪徳商法の温床となりやすい典型的な取引形態と見做されていました。
なぜなら、上記した「個人相手」「商品の評価が難しい」という二つの特徴を備えていることに加え、「物理的拠点が無い」商取引であるという特徴が加わっているからです。つまり、その場限りのいい加減な説明(オーバートーク)によって売り逃げてしまうことが可能な商取引なのです。

実はほとんどの連鎖販売取引は訪問販売の要素を含みます。
最近でこそ、インターネットを通じた業態が登場してきてはいるものの、ネットワークビジネスの基本的な営業スタイルは口コミを重視し、友人や知人に対して対面で商品の良さやビジネスチャンスを伝えるというものです。そのほとんどは“店舗以外の場所で申込みや契約を行う”訪問販売の形式を取ります。
ですからディストリビューターは連鎖販売取引だけでなく、訪問販売の規制内容についても理解しておく必要があるのです。

たとえば訪問販売に関する規制として重要なものに次の条項があります。
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事業者は、契約を締結しない旨の意志を表示した者に対し、その契約について勧誘してはならない
(特定商取引法3条の2第2項)

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これは通称“再勧誘の禁止”と呼ばれるもので「いったん断られたらそれ以上の勧誘を行ってはならない」とするものです。
しかし連鎖販売取引の規制内容に含まれていないせいか、ディストリビューターの間では守られている事が少ないようです。

実際、ニューウエイズ(2015年春にMODERE (モデーア) に変更予定)のトップディストリビューターである江頭俊文氏は自著の中で、
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ちなみに私があるタイトルを獲ったとき、そのタイトルに必要な9人の成功者のうち、なんと7人は私の話を2回以上断った人たちでした。もう一度言います。私の成功を支えてくれた9分の7の人は、少なくとも2回は、私の話を断った人だったのです。
『パーフェクトドリーム/江頭俊文』

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と述べており、一度断られても諦めずに勧誘し続けることの重要性について触れています。
もっとも再勧誘禁止の条項が加わったのは2008年のことですから、当人が法律違反をしていたと言う事ではないでしょう。しかしネットワークビジネスの成功ノウハウについて述べる書籍において、出版時点(2009年)で成立している法律に違反するような内容を勧めているのは指導者としての意識が低いと言わざるを得ないでしょう。

いずれにしてもネットワークビジネスは様々な面から問題を起こしやすい構造を持っており、それは個人やグループの資質に限定されるものでは無いが故に、法律によって規制されているという事は理解しておく必要があります。

また、ネットワークビジネスには上記に加えて極めて特徴的な要素があり、それが他の取引と比較しても“実質的な禁止”と言われるほどの厳しい法律規制を設けられている原因になっています。

ネットワークビジネスが法律で規制される理由②』に続きます。


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ネットワークビジネスは法律で認められているのか?

ネットワークビジネスの従事者がよく使う言葉に「ネットワークビジネスは法律で認められている」というのがあります。その後に「だから安心だ」というふうに続いたりするのですが、明確に法律で禁止されているネズミ講との対比を際立たせることを狙いとしているのだと思われます。
しかしこの言い方ですと、まるで国が審査等を通じてネットワークビジネスに対して営業許可や認可をしているような印象を与えてしまいます。もちろんそんな事はありません。

そもそも、日本では憲法第22条「職業選択の自由」があり、その中で営業の自由も保証されています。つまり基本的に誰がどんな商売を営むのも自由です。その大前提がある中でネットワークビジネスは特定商取引法の第三条に連鎖販売取引として規定されているのです。

特定商取引法の元々の趣旨は、
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この法律は、特定商取引(訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引販売取引並びに訪問購入に係る取引をいう。以下同じ。)を公正にし、及び購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(特定商取引法第一条)

――――――――――――――――――――――――――――――
となっています。

つまり、無数にある商取引の中のいくつかを消費者(=購入者)とのトラブルを起こしやすいビジネス類型として“特定”し、トラブル防止のルールを定め、事業者による不公正な勧誘行為等を取り締まることで、消費者を保護することを目的としたものなのです。

ですから法律についてあえて何か触れるとしたら「法律で認められているから安心だ」ではなく「法律で規制されているから最新の注意を払ってビジネスに取り組んでいる」という言い方のほうが正確な表現だと言えます。


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ピラミッド型かリピート型か②

ピラミッド型かリピート型か①』では、ネットワークビジネスがネズミ講化することを防ぐための米国での枠組みについて見てきました。

それでは、日本はどうなのでしょうか。アメリカのような自主規制はあるのでしょうか。
それに関連して、特定商取引法の第一人者である明治学院大学の圓山茂夫准教授は日本の状況を厳しく評価しています。
――――――――――――――――――――――――――――――
日本訪問販売協会が2002年に制定した「連鎖販売取引の自主行動基準」は諸外国に追いつこうとするものであったが、それでさえ在庫商品の返品(買戻し)制度のみを義務づけているに過ぎない。(中略)わが国のルールは、米国の合法性基準からははるかに遠いように思われる。現在、リピート型に分類される事業者においてもトラブルが絶えないことに鑑みると、なお抜本的な規制措置が望まれる。
詳解 特定商取引法の理論と実務(P414)/圓山茂夫)

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未だ十分な枠組みが整備されていないため、リピート型に分類される事業者にあってもトラブルが絶えないということを指摘しています。

その上でかなり慎重ながらもネットワークビジネスが社会的意義を持つ可能性について示唆しています。
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今後、リピート型事業者の取引方法に上記のような徹底したトラブル防止措置が組み込まれ、さらにそれがその事業者の参加者全体に企業文化として根付いた場合に、リピート型は「普通のマルチ」として認識されるだろうし、その取引方法がわが国の経済社会に一定の存在意義を有するものとして受容される可能性があるように思われる。
『詳解 特定商取引法の理論と実務(P415)/圓山茂夫)』

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そしてそのために以下のような条件を挙げています。
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なお、リピート型事業者においても、富の追求、リーダーとして人の上に立つ快感など、人の欲望が行動動機になっているため、一部の系列が暴走する危険が常に存在している。新規参加者に対し消耗品セットのクレジット購入や、高価な耐久消費財の購入が事実上義務づけられ、高額の負担が要求されるようになると、それはリクルート利益の追求にほかならず、ピラミッド型に陥っていることを示していよう。(中略)連鎖販売取引では、本部は参加者を雇用せず、独立の企業者として扱っているため、ある販売系列が暴走した場合でも、その情報が入りにくく、方針転換も行いにくいように思われる。事業者には、販売系列のすみずみにまで指導監督が及ぶよう、たゆまぬ努力が必要とされよう。
『詳解 特定商取引法の理論と実務(P415)/圓山茂夫)』

――――――――――――――――――――――――――――――

ネットワークビジネスが当初の立法の意図を乗り越え、真の意味で合法となり、社会に受け入れられるためには、関係者のさらなる努力が必要なのだと改めて考えさせられます。


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ピラミッド型かリピート型か①

違法と合法の狭間』のエントリーではネットワークビジネスを規制する法律の元々の趣旨を踏まえると、ネットワークビジネスは合法なのではなく脱法なのだと説明しました。

しかし、実際はもう少し議論は複雑です。というのはネットワークビジネス(連鎖販売取引)にもピラミッド型とリピート型があるとし、後者を擁護する議論もその後に出てきているからです。
(参考書籍『マルチレベル・マーケティングの仕組み/藏廣一』)

ピラミッド型では「2人昇進させれば元が取れる」「3人育成すれば昇格できる」等と参加者をリクルートして、ピラミッド型に組織が拡大することが前提となっています。取扱商品は高価な耐久消費財が多く、消耗品の場合でもセット販売により高額化しています。1回限りの販売で上位会員へ配当する原資を獲得しようとするため、短期間にトラブルが多発します。ネズミ講とほぼ変わらない仕組みだと言っていいでしょう。

一方でリピート型では取扱商品は値の張らない健康食品、化粧品、洗剤等の日用品が主力商品であり、配下または組織外の顧客に繰り返し販売することによる流通マージンが大部分を占めます。中には長期間営業を続けている上場企業も含まれています。

それでは、この二つに間に明確な線引きはできるのでしょうか。リピート型ではネットワークビジネスの本質的な問題点を回避できるのでしょうか。これに関連して米国では1979年に連邦取引委員会(※日本の公正取引委員会にあたる機関)がリピート型に位置づけられるアムウェイに対して多くの条件を付けながらも“違法性を認めない”という審決を下しています。また、それを受けて米国訪問販売協会は自主規制を設けています。

これら米国における枠組みは以下のように整理されます。
①組織外への小売りの義務付け
 EX.顧客10人規定(報酬を得るためには期間内に10人の顧客に1回以上の販売をしなければならない。)
②過剰在庫の防止規定
 EX.小売り70%規定(報酬を得るためには購入した商品の少なくとも70%を販売しなければならない。)
③返品規定
 EX.在庫商品の買戻し制度、自家使用商品は使用後でも無期限・無条件で返品できる制度

これらはいずれもネットワークビジネスがネズミ講化することを防ぎ、参加者の被害を最小限に食い止めるための枠組みであり、アメリカにおけるMLM(ネットワークビジネス)の合法性の基準だとされるものです。

それでは日本の状況はどうなのでしょうか。
ピラミッド型かリピート型か②』に続きます。


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違法と合法の狭間

ネットワークビジネスは特定商取引法の規制を受けているものの違法ではありません。
そうかと言って合法かと言われると話はそう簡単ではありません。
※これ以降、連鎖販売取引、マルチという用語が使われますが、これらはネットワークビジネスと同じ意味だと考えて頂いて結構です。(参考記事『ネットワークビジネスかどうかの見極め方』)

特定商取引法は一般消費者を守ることを趣旨とした法律であり、特に連鎖販売取引については事細かな禁止行為を規定しています。特定商取引法の前身である訪問販売法を創設した竹内昭夫教授はマルチ商法について極めて厳しい評価を下しています。
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(訪問販売法は)マルチに『公正』であることを求めればマルチは当然成り立たなくなって絶滅するはずであるという考えに基づいて、マルチという病菌を『公正化』という強力な雑菌剤に浸そうとしている。
(特殊販売規正法108頁)

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当時すでに多くの人が携わっているビジネスを法律による規制だけで無くすことができるというのは学者らしいナイーブな発想だと思わずにはいられません。

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リクルートするといくらの収入になるかを説明する場合には、リクルートしうる人数について客観的な限界があることも同時に説明しなければならないはずである。(中略)そしてマルチの場合には、加盟者が経済的に成功すればするほど、他の多数の者が損害を被る時期を早めているのであるから、『マルチに加盟すれば自分が泣くか多くの他人を泣かせるか、そのいずれかにある』ということを告げなければ、重要事項の不告知となるはずである。(中略)右のような解釈をとれば、マルチの勧誘を適法に行うことは実際問題として不可能であろう。
(特殊販売規正法108頁)

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ネットワークビジネスが内在する破綻の必然性に関わる記述です。(参考記事『必ず破綻するビジネス』)

ネットワークビジネスを規制する法律の創設者はネットワークビジネスを絶滅すべき存在だと捉えていたのです。
ですから今現在ネットワークビジネスが多数存在している状態は当初の立法の趣旨からすれば、違法同然なのに法の不備を突いて違法とはならない状態、すなわち脱法という方が適切なのです。


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プロフィール

ゆんた

Author:ゆんた
経営コンサルタントの管理人がニュースキン(Nu skin)やアムウェイ(Amway)を始めとするネットワークビジネス、マルチ商法、マルチレベルマーケティング、MLMの仕組みを解き明かします。

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